『地球の救い方』

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読書日記

近頃、異常気象が続く。都心部のゲリラ豪雨や各地の大雨、竜巻等々。
私は昔からあったのだと思っている。今日暮らし方が昔に比して柔になっていることや、無理な場所に道路や建物が作られたり、情報網が発達して世界各地の現象が速やかに知れ渡るようにのなったため、あたかも酷いことになっていると感じのでは。
しかし、徐々に地球環境が変化していることは世界各国の科学者の研究で明らかである。それがいわゆる「地球の温暖化」である。
その原因がCO2の大量の排出ということだ。
そういったことで、私は日本で初めて、「省エネルギー」に関する小冊子を今は亡き原須美子さんと著わした。もう30年以上前になる。
以来、省エネルギー、省資源、環境問題がわたしの仕事の大きな部分を占めてきた。
地球温暖化が我々の生活に影響してきたなどと報道されたりしているが、逆で、私は我々の生活が地球に影響して温暖化を引き起こしているとみる。
たまたまCATVの番組で、秘境の地の文化を紹介しているものを見た。
探訪者が月尾嘉男氏だった。
月尾嘉男氏とは、以前に資源調査会でご一緒し、わたしが座長を務めた「生活資源」に関する小委員会でご一緒頂き、貴重なご意見をいただいた。
早速、著書を購入した次第。


『地球の救い方』 月尾嘉男 遊行社 1300円+税

著者は、ものには限界があり、地球の限界を人類が突破してしまったと説く。
エネルギー資源のみならず、水、食糧、鉱物などなど、特に無資源国の日本は異常な状態になっている、と。円を積めばいくらでも輸入出来る時代は終わると。地球レベルでの争奪戦になると。
エネルギーの自給率は4%。
水も豊かな国ではなくなる。人間一人最低飲料水が1日3リットル必要だ。
食糧の自給率は4割弱。
鉱物は殆ど無し。

そこで、地球を救うとは、われわれ人類を救うことである。
エネルギー使用では、徹底した省エネルギーを。
水問題では、これも節水。それとミネラルウォーターの見直しを。1リットル300円として、ガソリンの倍近い値段。水道水の1500倍。輸入産のミネラルウォーターが国産の3分の1だとしても、輸入のために大量のエネルギーを使っている。
水問題では仮想水という概念がある。トウモロコシやいろいろの食物を育てるために使われる水を考えに入れるということ。輸入食品には大量の水も含まれていることになる。
食糧は、地産地消、スローフードの推進。
鉱物、資源では、3R(リディース、リユース、リサイクル) それに、リペアー(穴あきなど補修する) とリニューアブル(木材、布などを使い再生可能な材料を使用)を加えて5Rを薦める。江戸時代は全てこれだったと。
最近では、アーバンマイン(都市鉱山)ということが重視されてきている。製品のリサイクルで、何と、ニッケルが8割、チタンが5割、アルミニウムが6割り、リサイクルにより回収されている。
1tの携帯電話から金が300g回収(1tの鉱石からはせいぜい60g)、コンピュータも1tから100gの金が。

最後に、エコロジカル・フットプリントという考え方を紹介している。
一人の人間が地球上で1年間生活するために必要な土地や水面の合計を計算したもの。エネルギー資源を掘るなどの土地、田畑、橋や鉄道、公共施設、家などなどの土地や魚を捕る川や海などなど。
日本人は一人当たり4.9ヘクタールとなる。ところが、日本が国民に提供できる面積は0.6ヘクタールしかない。残りの4.3ヘクタールは海外に頼っているという計算だ。
世界全体で見ると、一人当たり2.7ヘクタールとなる。が、地球が人に提供できるのは2.1ヘクタールにしかならず、0.6ヘクタール足りない分は貧しい人々の犠牲の上にある。何億というひとびとが餓死寸前で、毎年何千万人の人々が餓死している。
そうならないためには、地球が1.3個必要になるのが地球の今の姿である。

効率一辺倒で進んでいる社会を江戸時代に戻すことは無理でも、サステイナブル(持続可能)な方法を人間の英知は求められている、と。
 

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