『女帝エカテリーナ』

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読書日記

2011年06月10日

『女帝エカテリーナ』 アンリ・トロワイヤ 中央公論社 1800円

近々ロシア旅行に出かけるので、久々に読み返した。
とにかく凄い女性である。
ロシアの血の全く無い、ドイツの片田舎の小領主の公女だったフィクヘンが、ロシア語を完全にものにしルター派からロシア正教に改宗してロシア人になりきり、大国ロシアの女帝として34年間君臨する。
ロシアはヨーロッパではなく、どちらかといえばアジアのようだ。
ピョートル大帝の孫が大公として育てられていて、その大公に幼くして嫁ぐ。そして、その夫や息子などを暗殺して(直接手をくださない!) 君主の座につく。

寵臣を絶え間なく次から次へと褥に受け入れ、子種のない夫に代わって世継を作る。
ご用済の寵臣は手厚く送り、ひとりなどポーランド王に就けさせられる(彼が長男の実父)。それ以降ポーランド国は分割という悲劇がつきまとう。
正式(?)に夫婦関係にあったのはボチョムキンだけだと伝わる。

彼女は知識知性豊かな女性で、啓蒙思想家のヴォルテールやディドロ、ジヤン・ジャック・ルソーとの交流が深い。
そして、「エルミタージュ美術館」などを大々的に新築・増築し、美術品の収集に努める。金遣いも荒い。
ヨーロッパ諸国に比べれば野蛮でとても社会的に整っていないロシアを、教育改革など次々と実行していく。
当時のフランスはルイ15世の時代、これは宿敵である。
民衆の宗教改革や市民革命を極端に恐れる。
啓蒙思想家でありながら、絶対専制君主である。

なかなかの策士であり、情愛深く、文藝に関心の深い、とにかく凄い女性である。
面白い歴史読み物風に書かれてはいるが、なにしろ大作だ。 

 

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