『グラン・シャレの美学 言の葉づくし』

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読書日記

2014年04月26日

『グラン・シャレの美学 言の葉づくし』 節子・クロソフスカ・ド・ローラ 世界文化社 1500円+税

著者は若くして画家バルテュスと結婚し、バルテュスの死後も彼の遺志を継いでかスイスのロシニエールにあるグラン・シャレという1754年に建てられたスイスで一番大きな木造建築の山荘に住み続け、自身画家としても世界的に活躍している。
南仏エクス・アン・プロバンスにあるセザンヌのアトリエで2012年に「節子展」開催。私は2010年フランス旅行中このアトリエに寄っているので懐かしく写真などを見た。
バルテュスとの思い出、家族のこと、飼い猫や飼い犬のこと、四季の移ろいのことなど、愛情豊かに優しく綴っている。
バルテュスを通して世界の名だたる芸術家ら、勿論日本も(勝新太郎とも)、との交流の広さ深さは流石だ。
そして、何より日本の美に感心が深く寄せられている。バルテュスが日本に興味を寄せていた所為もあろうが、今でも晴れの日日常と和服が主だし、孫たちにも和服を着せたり日本の言葉を伝えている。
こうしたことの出来る女性は、彼女も、美意識があって、感受性豊かで、人にも自分にも優しく接しられ、こころがおおらかで、なにより手先が器用なのであろう。
こちらまで心豊かな暖かい美しい気持ちにさせてくれる一冊だ。

以前に著者の『グラン・シャレ 夢の刻』を読んだ時にも同様の感想を抱いたことを思い出す。

「バルティス展」が、上野の東京都美術館で6/22まで開催中。
 

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