『半七捕物帳』

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読書日記

2014年08月05日

『半七捕物帳(一)』 岡本綺堂 光文社時代小説文庫 648円+税

こう毎日暑くては、寝転んで本でも、と読むには文庫本は軽くて適している。
『修禅寺物語』で著者の岡本綺堂に興味を覚えた。そして『半七捕物帳』も彼の著と知り、さっそく読んだ。英国のコナン・ドイルが『シャーロック・ホームズ』を執筆していた時同時に、それを原文で読んでいたというのは凄い。それでこのような純然たる日本調の探偵小説や歌舞伎や芝居の脚本を書いたのだからほんとに凄い。

『半七捕物帳』は、幕末に岡っ引きをつとめた半七が隠居していて、明治20年代に若い作者が彼の手柄話を聞き留めるというもの。それを著者が大正半ばから昭和10年代に書き綴られた。68篇ある。
この(一)は、第一作「お文の魂」から始まって14話収められている。
明治も20年代になると江戸から東京に変わって、その移り変わり、家屋敷の街の、人情の、政治の移り変わりが、軽妙に書き込まれていておもしろい。

実に新鮮な読み物である。というのもおかしいが、粋な江戸情緒が脚本も手がける著者の手にかかって、見事に描かれている。洒脱だ。半七親分、いい男だねぇー。惚れ惚れする。

  

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