『覚悟の決め方』

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読書日記

2011年12月19日

『覚悟の決め方』 河野太通・南直哉・釈徹宗・田口弘願・小池龍之介 扶桑社 1500円+税

稽古をしている太極拳の教室で、師から毎回要点をついた小文のプリントが配られる。
今年最後の日は、"僧侶からのエール"と題して、NO.895が配られた。
読んでみると、「3・11以降に求められる覚悟」として、本著の一部が紹介されていた。
私の心の惑いに応えてくれそう、と翌日さっそくネットでアマゾンに注文し、その日に届いた。

副題に、"僧侶が伝える15の智慧"とある。
"3・11からの生き方指南ーー日々淡々。"ともある。
上記5人の僧が話している構成。
5僧は、「縁」によって、いかされて
     無力を自覚し、我が身を問う
     儚いからこそ、愛おしい
     今、ここにいる「自分」を大切にする
     鈍った感覚を研ぎ澄ます
と題して3つずつ話す。

こころに残ったことは、「被災者とそうでない者は、こころが同じでない。救済は押しつけにならないように。みんな一緒などと、みんなで頑張ろうなどと押しつけないこと」ということ、豊かな便利な社会を持続させるための復興は止めにして豊かさを見直すこと、などなど。
大きな時代の転換点とみなさなければ、亡くなった多くの人々、失った多くのものが浮かばれないのではないか。

「第一の矢」は、3・11に起こった事実。
「第二の矢」は、その後情報に踊らされて、何とかしてあげなきゃという善意、でも何も出来ない罪悪感。無気力感。そして自粛ムードなどなど。
第一の矢は避けようがない。第二の矢は自らが勝手にこころに刺す矢のことである。この矢を避けるのもいくつものこの矢にささっていまうのも、己のこころの持ち方次第。
つまり「事実(リアル)」と「印象(バーチャル)」とは違うということを認識できるか否か。

私など、勝手に自分を「感情移入の激しい者」と決めつけて、いくつもの第二の矢に刺さって、それに浸って逃避していた嫌いが多分にあるな。
仏教の教えは奥深くて、よく学べば悟りを覚えることの一端にたどり着くかな。

  

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