『仮面の告白』

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読書日記

2012年09月23日

『仮面の告白』 三島由紀夫 新潮文庫 438円+税 

今日は町内会の「健康ウォーク運動」で徒歩小一時間のところにある千葉市動物公園に行く予定で楽しみにしていた。
二本脚で立ち歩くレッサーパンダで一躍有名になった動物園
しかし生憎の雨。中止。晴耕雨読と相成った。 

三島の作品は初めて読む。
昭和24年、若干24歳にして、この凄い自伝的小説を書く
男色という内なる魔物との青春期の格闘を描く。
言葉使い、知的広さ、文章などなど、度肝を抜く凄さである。
この小説の中で、既に、後に昭和45年、45歳で、午後零時15分、自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室にて、「楯の会」の仲間と自決するに至る一連の彼の思考行動を予感させる。

自決当日、私は新米社会人としてある職場で働いていた。ガリ版摺りか何かとにかく暗い印刷室と呼ばれていたところで一人作業をしていた。とある先輩が出先から興奮して帰って来た。「三島由紀夫が自衛隊に立てこもったらしいぞー」 何故かとても怖い気分になったことを覚えている。
そういう時代だったか。昭和44年1月、盛り上がっていた学生運動が東大安田講堂事件にまで発展したりした。我が大学は当局で大学封鎖されたりして、私は卒論提出が教授と約束の日にできず、卒業式も出なかった。
翌日の新聞には、総監室に転がる首や何かがぼんやり写し出されていた。マスコミもてんてこ舞いだったのだ。

三島由起夫という人間は、知的精神的にずば抜けて秀でていたであろうことは確かだ。
それが正道であろうとなかろうと。
 

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