剣客商売  一

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読書日記

2018年04月17日

『剣客商売 一』 池波正太郎 新潮文庫 590円+税 

言わずと知れた池波の好評シリーズの一つ。鬼平犯科帳シリーズの方が早くに書かれた。彼はこの他、藤枝梅安ものや、雲霧仁左衛門などなど、よくもまあこんなに書けたものである。この他の時代物、随筆、などなど。
今頃、池波の虜になっているなんて可笑しなものではあるが…。
『剣客商売』は、テレビドラマで藤田まこと演ずる秋山小兵衛に味を占めて読み始めた。鬼平同様に、江戸情緒豊かな描写、色合いなど、読んでいて新発見が誠に多く味わい深い。
江戸の地名、川、掘割、田圃、新開地などなど、さらには武士階級のあり様、俸禄など、そして何よりも食生活に驚きの旨味が込められている。
世界都市となってしまった東京の、根無し草になってしまった東京の、日本語が通用しない現在の東京の貧しさとは対照的な、情緒豊かな活力溢れる庶民の江戸があったのだ。
池波の取材力、資料探索力、語彙力は抜群だ。それでいて、実に平素に書かれているのである。鬼平同様、剣客商売も全シリーズ読んでしまいかねないな、これでは。ま、いっか。

 

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