『孤独のすすめ』

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読書日記

2017年08月20日

『孤独のすすめ』 五木寛之 中公新書ラクレ 740円+税

五木寛之の書は初めて読む。CATVで「百寺巡礼」という彼の旅記は観ているが。
この『孤独のすすめ』では、人生を登山にたとえている。老いという下山の時、玄冬期にあって、青春や朱夏期のように我武者羅に前を向いて歩くことは無理である、後ろを振り返り、一人静かに孤独を愉しみ思い出を咀嚼して回想にふける事、孤独を愉しむ人生、捨てたものではない、とする。
「回想」はいやな思い出はしまっておいて、楽しかったこと嬉しかったことを思い出の抽斗から引っ張り出す事。このことが脳を刺激して認知症のリハビリ、老年期の鬱、人間不信や自己嫌悪から救ってくれるという医学でも取り入れられているという。
彼は、「嫌老社会」という、若者の負担でこの超高齢社会を支えているという若者の負担意識を指摘する。
が、若者に負担を強いる社会でなく、その改善策として、高齢者マーケットの確立を提案する。
従来のシルバー・ビジネスとは違い、高齢者が主体となって企画・生産・販売に携わる、つまり現在減速している若者主導のマーケットでなく、若者に代わり高齢者主導の高齢者向けの製品・サービス工業の提案である。日本の技術力をもってすれば、ロケットを宇宙に飛ばす技量をより便利な補聴器づくりなどお茶の子さいさいだろうと。マーケットは世界であると。
嫌老でなく賢老になろうというのだ。
大賛成である。

 

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