『国境のない生き方』

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読書日記

2015年08月14日

『国境のない生き方』 ヤマザキマリ 小学館新書 740円+税

著者のことは、BSテレビで古代ローマの歴史に関する番組で見て、面白い人だと知った。日本の歴史学者と対等に話して持論を展開している。塩野七生さん以来の傑物だと。
それでこの本を読んで知った、彼女は漫画家なのだ。

彼女の国境のない生き方。正に国境だけでなく、生物として、精神面もなどなど、さまざまなボーダーをなくしていく。凄い。
母親の影響を強く受けている。母親がそう仕向けている。彼女の地図のサイズが地球規模! イタリアから友人を連れて帰国したとき、出迎え頼むとは電話しておいた。二つ返事で「分かった」と。まさか実家の千歳から成田空港までタウンエースをぶっ飛ばしてきて、そのままさらに親戚のいる島原まで、正に日本縦断をするとは!
北海道の自然の中で、世界中で仕事をする母子家庭の長女として、自然児のように逞しくいきていく。
14歳でヨーロッパを放浪の一人旅。
その時知り合ったマルコじいさんのすすめ極貧の中フィレンツェで美術を学び、どうしようもないイケメン詩人に引っかかる。ボランティアでキューバにいるとき、見限った彼の子を宿す。
日本に帰る費用工面のため日本紙の懸賞漫画に応募し10万円をゲット。
以降の漫画家としての生き方も凄い。漫画『テルマエ・ロマエ』など8ヵ国で翻訳されているという。

彼女のこの凄さは、膨大な読書と、旅であろう。
囲いに行き詰まったら旅に出るという。囲いの外へと出てみるのだ。
そして、この囲い・ボーダー・壁は何所にでもあるということを知る。それに囚われずに果敢に自然体で切り開いていく力は、教養・知識なのだと彼女は識る。教養や知識は伊達や飾り物ではなく、生きていく上での言葉となり、実現し行動のエネルギーとなるのだと。

凄い生きた哲学をもっている。そう、哲学とは生き様になるののだ。
私も、もっともっと読書し旅を楽しもう。

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