『メグレと口の固い証人たち 』

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読書日記

2017年07月31日

『メグレと口の固い証人たち』 ジョルジュ・シムノン 河出文庫 640円+税

1959年に書かれている。第二次大戦後10数年している。
メグレは定年退職を意識している。初老といったところ。妻と二人でよく夜映画を見に行く。
古びた潰れかけた老舗のビスケット屋の長男が殺された。しかし、家族誰一人として口を割らない。
捜査に、新任の若い判事が始終ついて回り、メグレをいらだたせる。
殺された長男の弟の嫁がたいそう若い。なめし革屋の一人娘で莫大な持参金と遺産を受け継いでいる。
事件はメグレにとっては面白くない結末で解決される。
人種差別、職業差別、階級差別、老舗の崩壊などなど、パリの屋根のしたの重苦しい空気がセーヌ川のどんよりとした流れと共に描かれている。

 

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