『アフリカの日々』

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読書日記

2013年06月02日

『アフリカの日々』 アイザック・ディネーセン 晶文社 2500円+税

近々アフリカ旅行を企てているので読んだ。
たいへんに素晴らしく感動的な著書だ。
1937年出版。1914年にアフリカ・ケニアに渡り、18年間 大コーヒー園の女主人として過ごした日々を追憶する。
映画「愛と哀しみの果て」という映画にもなった。
著者はデンマークの名家生まれの女性。スウェーデンの貴族と結婚し、夫に裏切られ性病をうつされて、農場の破綻でヨーロッパに戻る。
帰国後、多くの著書を出版する。彼女は全ての著作を英語とデンマーク語で出す。英語ではアイザック(またはイサク)・ディネーセン(またはディーネセン)という男名で、デンマーク語ではカレン・ブリクセンという女名を使った。。20世紀物語文学最大の作家の一人とされる。

当時のアフリカは、キリスト教ヨーロッバ列強の植民地(保護地という意識)として、原住民の意向無しに勝手に分割されヨーロッバ諸国の国有地となり、広大な農園をヨーロッパ人が買い取り、一攫千金を狙った入植者たちが経営していた。
そういった実情を、ヨーロッパ人・白人(アフリカのことを殆ど知らない人)の目から愛情を込めて冷静に、現地の様々な民族の人たち(自分たちがもともと住んでいた土地なのに借地人とされ、使用人とされているー黒人)や、ライオンやヒョウなど野生の動物たちを描いている。
もともと知性と感性の優れた人なのであろう。古代ギリシャ文化、キリスト教文化、ヨーロッパ文化そしてアフリカ土着文化、イスラム文化などなどを自由自在に取り入れ編んで、ものの見事な教養豊かな詩的な物語りを繰り広げる。
"私は、アフリカの人たちに強い愛情を覚えた。暗色の肌を持つ人種の発見は、私にとって自分の世界がめざましく広がることにほかならなかった"と。
著者は、著書に写真を入れることを拒む。写真はものごとの表面しか捉えないからと。
農園主として、彼女は何百人もの現地の人々に慕われ頼られている、と感じている。実際そうなのだが、言葉は通じず、習慣も分からない、彼らはただ黙って何日でも無表情に彼女の家を取り巻いて座っているだけだったりするから。
アフリカに流れる時間は桁外れにスロー。彼らの表情は殆ど変わらない。問いに返事をするにもあたかも思考を遠くから引き寄せるかのように長時間かかる。時には数日。

彼女は射撃の名人だ。そうでなければアフリカの農園では生き延びられまい。
野生のライオンやヒョウ、たしか象も、その他多くを射止めている。
バッタの大群が押し寄せ農園を食い尽して去る様子は凄まじい。
乗馬も車も日用手段。現地人は何日でも歩く。
恋人の飛行機に乗って大地を遊覧するのは最高の楽しみだ。

丁度最近、「野生のエルザーその真実」とかいうドキュメントをCATVでやっていたので見た。野生の雌ライオンを育てて野生に返す映画は一頃話題を呼んだ。その映画のメイキングのようなもので、原作者夫妻とエルザの実像を追っていた。
結局、野生動物保護に尽力した二人は、危険な野生動物に殺されたのではなく、人に殺されたのだった。妻は使用人に、その後夫は盗賊たちに。

昨今、横浜で「アフリカ開発会議」なるものが開催され、多くのアフリカの為政者が来ている。
安倍総理は、アフリカは最後のフロンティアと称して商魂たくましく官民で1兆円単位の開発援助を約束したとか。
今日アフリカ各国は独立し、または内戦に苦しんでいるが、元はといえば暗黒大陸といわれ勝手に列強にいじくり回され乱開発されたことが発端なのではないか。
余計なお世話はせずに、スローに流れる地元の世界をほっておいてあげたら如何。

ワンガリー・マータイさんの著『モッタイナイで地球は緑になる』をかつて読んだ。公的援助が地元行政官の袖の下に消え去るということが書かれていた。なんともまいる話しだ。
そして、H.M.スタンレーの著『暗黒大陸』を昔よんだ。1877年に、アフリカ探検家スタンレーがヴィクトリア湖からタンガニカ湖を究めコンゴ川を下ってアフリカ大陸横断を白人として初めて成した手記である。今でも記憶に残っている記述は、未開の地を踏破していく内に出逢う漆黒の肌の色の人々の美しさに慣れていた、ので、コンゴ川河口付近にたどり着いたとき肌の汚い幽霊かと思われる人に出会った。それは日焼けした白人であったという件。
これらの本はまた読み直してみよう。

 

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