『サロメ、ウィンダミア卿夫人の扇』

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読書日記

2012年05月29日

『サロメ、ウィンダミア卿夫人の扇』 オスカー・ワイルド 新潮文庫 476円+税 

この歳になってオスカー・ワイルドの戯曲を始めて読んだ。
面白い!
シニカルにユーモアも含めて、意味深長な極上の対話を軽く描いていくワイルドの世話物。流石に読み応えがある。
是非一度芝居で観てみたいものだ。
映画で「理想の女」というのを見て、ヘレン・ハント演じるアーリン夫人が切なく小粋なのに興味を惹かれ、その原作である「ウィンダミア卿夫人の扇」を読んでみたくなったのがきっかけ。 

この本は、「サロメ」「ウィンダミア卿夫人の扇」そして「まじめが肝心」が収められている。
訳者の丁寧な解説も読みこなす助けになる。
「サロメ」は、ユダヤの王ヘロデと後妻のヘロデヤ、そしてヘロデヤの娘サロメの強欲性的なやり取りで、サロメが予言者ヨハネの首を切らせる話し。
「ウィンドミア卿夫人の扇」は、離婚し家を出て地位も財産も評判もなくした魅力的なアーリン夫人とウィンダミア卿とその夫人との愛の駆け引きの話し。
「まじめが肝心」は、これが多分一番名が知れていようが、ロンドンと田舎とで二人の男性がそれぞれ架空の兄弟を作って演じて、それぞれ素敵な娘に求婚して事態が複雑に絡み合う話し。

オスカー・ワイルドはアイルランドのダブリン生まれ。『ガリバー旅行記』を書いたスウィフトもダブリン生まれ。『ダブリン市民』を書いたジェイムズ・ジョイスも、そしてバーナード・ショウも。
そうそうたる作家がアイルランドからロンドンに出てきて学び成功している。
現代のアイルランドとイギリスの紛争はどうしてなのか。

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