『ベニスの商人』

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読書日記

2015年01月11日

『ベニスの商人』 シェークスピア 鈴木幸夫訳 平凡社世界名作全集シェークスピア名作集より 260円

これは喜劇である。悲喜劇という説もある。
私は、ユダヤ人問題を取り上げたヒューマニズム作品とみる。
舞台はベニス。世界に誇る民主政治の整っていた法治都市国家。交易で栄える街。
ユダヤ人の残忍金貸しシャイロックが、高利の利息や人種を蔑まれていた富裕で正直人徳も厚い商人アントーニオに、しっぺ返しに利息の金は一切ないがその商人の身肉1ポンドをかたに3ヶ月という期限付きの証文で大金を貸す。
一方、ベルモントの富豪な貴女ポーシャは、亡父の遺言で婿選びに金、銀、鉛の箱のいずれかを選ばせる。そして、裁判官に変装してベニスに乗り込む。
シャイロックを「ジュー」と呼ぶなど、当時はかなりの差別が当たり前だったのだ。
人種問題は、われわれ日本人には想像もつかないものである。

昨今、フランスでイスラム過激派の襲撃事件が起きているが、これもわれわれ単一民族で国家を成している者には理解を超える問題である。勿論日本も単一国家ではないとの見方もあろうが。 

 

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