悦子の談話室

極彩色のギリシャ彫刻

     
 

今年はロンドン・オリンピック開催やエリザベス女王在位60周年の年とあって、マスコミなどで英国特集を多く組んでいる。
そんな中、NHKの大英博物館特集で、ギリシャ文化・ギリシャ彫刻のショッキングな史実を解明していた。
なんと、白亜の美を誇るギリシャ彫刻は、実は極彩色が施されていたのだったと。

今から250年くらい前からその史実が変えられた。
250年まえのドイツの史家が、ヨーロッパ文化文明の源はギリシャであり、ギリシャは独自の発生発展を遂げたと断定した。エジプトやアジアの影響など受けていたくないと。
ヨーロッパ至上主義の成立であり、"新大陸発見"などとの言葉が使われる。
同じ頃、英国ビィクトリア女王のウェディングドレスが純白で注目を浴び、白色が大いに人気を呼んだ。
そのため愚かな何と大英博物館のスポンサーであったある貴族が、学芸員ら大英博物館には極秘で、収蔵品のギリシャ彫刻に残っていた色彩を削り取り、大理石の白さを強調してしまった、と!!!
削り取っている現場を発見した学芸員が驚き、止めさせたと。作業員が削り取りに使った道具が保管されている。おぞましく、背筋が寒くなった。
私らはそれと知らずに白い大理石のギリシャ彫刻、パルテノン神殿の彫刻も、を大英博物館で鑑賞していたのであった。

250年以前には、皆知っていたことだった。
ギリシャ文化はエジプトやアジアの影響を受けてそれらを取り入れて紀元前7世紀前後から見事に栄えた。
それ以前は、ギリシャはまだまだ未開発。豊かな発展を遂げているエジプトは、傭兵としてギリシャ人を雇い、ナイル川の奥のヌビア地方まで遠征させた。ギリシャ人たちはアブシンベル大神殿やルクソール大神殿の巨大な彫像、そこに施されている鮮やかな色彩に驚愕したことであろう。そして、ギリシャに戻ってそれらを伝えたであろう。
エジプトのシリア遠征などでも同様。
それでギリシャ文化が花開くのであった。

史実が書き換えられることは往々にしてある。
歴史とは勝者の記録である。
敗者は歴史から消えていく。
だから、歴史を鵜呑みにしてはいけないし、今日の出来事も伝聞を鵜呑みにしてはいけない。必ず己の眼で確かめる、あるいはどうだろうかなと考えること、と言われても分かっていても、信じて思い込んで憧れてすらいたものが覆されるとショックは否めない。

ウィーンの旅で、オーストリア王妃エリザベートに関する在位中の不評を知ったときもショックだったな。エリザベート人気は彼女の暗殺後造られたマーケティングが功を奏したものだったとは。

いろいろと疑っていてはこちらの心が侘びしくなってしまう。が、まいったな。
NHKの大河ドラマにしても、日本の歴史を勝手に書き換えているとの声もまま聞こえてくるのだが…。

(12.07.02)

 
     

[悦子の談話室へ]

 

NewChibaProject