悦子の談話室

崖っぷちの国家

     
 

過日美容院で女性週刊誌をぺらぺらとめくった。
と、賑やかな芸能関連のゴシップ記事に混じり、かなり硬派な記事を発見。
見開き2ページで、元外務省国際情報局長孫崎享氏とニューヨーク・タイムズ東京支局長マーティン・ファクラー氏が辛口に日本の現状を論じあっている。そういう本の抜粋らしい。
帰りがけに早速本屋に立ち寄りその本をちらりと読んだ。
孫崎氏の「はじめに」を読むと、(今、この「はじめに」を書き終わり、出版を待つ間に、イスラム国による日本人2名の人質拘束と殺害事件が起こりました。この事件の背後には言うまでもなく、安倍首相の失策があります。安倍首相は2015年1月16〜21日の日程で、エジプト、ヨルダン、イスラエル、パケスチナなど中東4ヵ国を訪問しました。その際、エジプトのカイロで安倍首相は「ISIL(イスラム国)と戦う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援する」という約束をしてしまいました。この発言にイスラム国が直ちにテロ活動という形で反応したのです。これから先、日本が集団的自衛権の行使で、自衛隊を海外での戦闘に派遣すれば、必ずそれに対する報復が起こるでしょう)という追記が載っていた。
素人の私が考えたことと同じ意が書かれている。即購入した。題して『崖っぷち国家 日本の決断 ー 安倍政権の暴走と自主独立への提言』。読むのが楽しみだ。

過日、あるBSテレビで石原慎太郎氏と西部邁氏の話を聞いた。この二人、直に向き合っては纏まらないからか、一人づつ並行に見解を論じるという形だったが、聞き応えがあった。多分戦後70年の総括のようなテーマだった。
かなり右よりと見られている石原氏と「安保反対」を唱えた当時全学連の筆頭強力リーダーだった西部氏の対談。西部氏は東大教授などを経て、文芸評論家として真の保守主義を追求している人物。両者の論が激突するのではと思いきや、ほぼ同じ結論に達していた。つまり、今の日本はこのままでは危ない、崖っぷちだと。
社会的、経済的、宗教的、国政的に、歴史観、国際観が全く欠如していると。長い目で、キリスト教とイスラム教との戦い、白人人種による有色人種の抑圧、植民地化などなどを考えよ。日本よ、自信を強く持って、アメリカの追従にのみ努めるなと。
この対談で、久々に知的刺激を受けたものだった。

(15.04.11)

 
     

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