悦子の談話室

認知症

     
 

こんなことを書かなければならないなんて、何とも情けない。
このところずっと虚無感を感じている。
他人事だと思っていた。
が、明らかにそう思われることが、親しく旅や食事などグループで一緒にしていた女性に現われてしまった。

私がおかしいと気付いたのは、思い返せば2年くらい前から。
約束していた時間に1時間経っても来ない。そして来てからも遅れたことに全く気づいていない様子。この時は怪訝に思ったが取立てて追求しなかった。
それから半年後、約束の能鑑賞に時間が来ても現われない。携帯も切ってある。始まって暫くして係りの人に連れられて入ってきた様子。聞けば、何故か横道に入って、誰一人いない研修所の2階でポツンとしていたらしい。はじめての能鑑賞で緊張していたのか、私は唖然としたが、これも取立てて問うことをしなかった。
そして、半年後、グループで旅に行った時、宿で彼女と同室だった一人が私に打ち明けた。彼女酷いことになっているよう、同じ事を何度も聞くの、と。そして、初めてのこと、彼女は朝皆が朝食の席に着いている時寝ぼけ眼できたが、遅れたと弁解するでなし平然としていた。
そして、1年後の今年の旅の時、彼女は幹事役なのだが、すっかりその意識がなくなっていた。集合場所を知らないといい、違うところへ行ってたり、集金するでなく、支払いするでなく。夜、同室だった私に突然今日いくらかかったと聞き、メモをとろうとするが何回聞いてもメモがとれない。いいや、と止めてしまった。翌日急遽代わりの会計さんを立てて収支したが、その会計さんにお礼を言うでもなし、当たり前と感じている風。
1年前に私に変だと言ってくれた人が、さらに酷くなっちゃったねと案じた。
もともとスリムな女性だが、とにかく食が細くなり、好きなデザートやアイスクリームは喜喜として食べる。痩せすぎで、昔の服をだぶだぶに着ている。
古いことは異常に覚えていて、現在の他への配慮は欠けてきた。何事にも関心が薄れてきた。
その他、思い返せば切りの無いほどにいろいろと変なことが彼女にはあった。

私は余り人の個人的なことには首を突っ込まない方なのだが、知らんぷりなどとても出来ない。何とかしてあげたいと、旅から帰ってきても気が気でなく、変だねと話してくれた女性や会計をしてくれた男性に電話した。家族は気がついているのかしらね、と。御主人は70歳過ぎていてまだ勤務していると言っていたし、娘さんも朝早くから仕事に出ているはず。
彼女は、長年全国的組織の管理職として激務をこなした女性だった。退職後の意識、心の持ち様の転換ができなかったのか。
私はメールしてあった今度会う機会の確認を理由に電話した。もしご家族が出たらお家でどんな具合か、外でこんなことがあったとお節介ながら伝えたかった。生憎、妙に元気な明るい声で彼女が出た。うん、そうそう、今別の約束が入りそうでそれが決まり次第どうなるか返事するね、と。返事は無かった。メールはきっと見てないだろうし、インターネットが検索出来なくなっていたのは気付いていた。
で、今度は代わって、話してくれた彼女に電話してもらった。今度クリニックの定期検診に一緒に行こう言ったら、ご主人が物忘れが酷いからって1週間前かに病院に連れて行ってくれた、と言ったと。
ご家族は気がついているのだと分かって、皆一安心したが、もっと早くになんとかしてあげなかったことが悔やまれる。

悲しい、悔しい、残念。彼女がそんなことになっちゃうなんて。
65歳過ぎの日本人10人に1人は認知症に罹るという。
自分では気付かない。
食事を正しく摂って、有酸素運動を日に30分はして、周りのことに関心を持って、身だしなみを美しく心掛けよう。

素敵なご婦人で、お舅、お姑さんの介護を尽くした人が、今認知症を患っていて、彼女の場合は大切な事には御主人が付いてくるので安心、という方も身近にいる。

(12.07.28)

 
     

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