悦子の談話室

終戦の日

     
 

8月15日。
今年は70回目の終戦の日。今年は特に戦争の悲惨さを伝える報道が多い。そして初めて明かされる惨い、過酷な、人間の事とも思われぬ当時の事態が生々しく写し出される。

3月10日の東京大空襲に、10万人とも言われる一晩での市民の戦死は史上最多、その死体を隅田川沿いの今の江東区錦糸公園など各地に埋めたという、痛ましい壮絶な話をテレビで見ていた。

と、近所の何かと届け物を下さるおばさんが、「茄子をもいできたから、まだ砂がついているけど」と言って現われた。紫につやつやした小振りの美味しそうな茄子4つ。
「今、戦争のテレビを見ていたの。もういやだね、みたくないね」と言うと、「安倍さんはよくないね。あれ戦争を知らないんだね。戦争になつたら、うちの息子も、孫も大学に入ってるのに、戦争に引っ張られちゃうよ。安倍さんの顔を見るのもいやだ」と。
「戦争を絶対させてはいけないね」という事になった。彼女は80数歳のはずだ。女学校に行ったって勉強どころじゃなかったと。戦争の怖さを身をもって識っている。「もっと早いうちに何とか止めなきゃだめだね」彼女もこの頃ようやく語り始められたのに遅さを感じているのだ。

向こう隣の、これもいつも何かと面倒を見てくれる旦那のおばあさんから聞いたことがある話を思い出した。彼女もずっと以前に亡くなったが、亡母と同い年で二人は気が合っていた。彼女はちゃきちゃきの江戸っ子だった。木場の生まれ。で、その東京大空襲にあい、九十九里から木場に働きに出ていた御主人とここに帰ってきたのだ、といった話。小股の切れ上がった粋な女性だった。

年配の方々はそれぞれたいへんな思い、体験をしていて、今の平和を大切に願っているのだ。無闇に壊して欲しくない!

(15.08.15)

 
     

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