エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

原油高騰と消費者負担”(2005年11月11日)

  原油は昨年あたりから高騰が伝えられていた。

 90 年代 1 バーレル 20 ドル前後だったものが、今日では 60 ドルを超えている。エネルギーの石油依存度が低くなったとは言え、現代の社会基盤を支えていることに違いはない。よくぞ石油危機に陥らずにもちこたえているものだ。が、危機まで至らなくとも、しわ寄せは生じてきている。

 近々台湾に行くが、航空会社からの燃料付加料金「航空燃料サーチャージ」なるものが、 2600 円加算されている。これは航空会社や行き先によって異なるそうだ。そう、すでに今年 5 月にトルコに行った時、 1 万円近く払った記憶がある。

 ガソリン代はリットル当り 130 円を超えてきている。ガソリン・スタンドに行く度に「来月騰がります」と言われる。 7 月はじめに蓼科高原のあるスタンドで入れたら、すでに 135 円だったので驚いたものだ。

 この冬の灯油の値上がりが心配される。

 我が家は全電化住宅である。電気料金もまた上がる。石油火力の割合は小さくなったが、今度の上げ幅は調整制度導入以来最大だ。

 千葉県は、県内の中小企業に 10 月はじめアンケートした。約 75% の企業が「原油高の影響を受けている」、 45% が「利益が減少」と回答。これを受けて、原油高騰を大企業ほど製品価格に転嫁できない中小企業に対し、総額 20 億円の緊急支援融資制度を 11 月にはじめるという。

 価格転嫁された商品を買うのは消費者である。利益が減少している企業を支える融資資金は、住民の血税である。そして、企業は、原材料や生産全てに係ってくる原油高の負担を、リストラや事業所閉鎖などで増益状態に保ってきたのではなかろうか。労働者即ち消費者は、失業もしくは大幅な賃金カットで企業の収益を支えていることになる。

 大企業の、あるいはある一部の益が温存される仕組みでなく、消費者のこうした負担を重く受け止めていかなければなるまい。

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