エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

消費者庁実現へ”(2008年04月11日)

 このところの消費者庁(省)新設の動きに目が離せない。

 筆者は消費者問題に携わってきて30年以上経つ。
  先ず企業に消費者窓口の設置を促した。これはほぼ実現した。
  次に行政の窓口に消費者教育課の設置を唱えたがこれは実現していない。
  企業に消費者問題担当役員や政府に消費者問題担当大臣、補佐官などの設置を唱えたが、これは兼任、兼務などという形で実現している部分もある。

  2004年、従来の「消費者保護基本法」が改正され保護が消えて「消費者基本法」となり、消費者の自立が求められた。
  ところがそれ以降消費者自立など及ぶべくもなく、振り込め詐欺や耐震偽装事件、保険金不払い、国民年金の行方知れず問題など消費者被害の事例が相次いで発覚した。
  07年は食品偽装事件で明け暮れた。
  頼みの綱だった国民生活センターは行政改革の煽りで縮小の道を辿りはじめた。

 こうした消費者としての国民的不安不信がたかまり、ここへきて福田首相が急遽消費者保護行政の重要性を訴えはじめた。
  大いに期待するものである。ただ福田首相がどれほど消費者問題を理解出来ているか、福田政権でどれだけのことができるか。ここは与野党一体となって知恵を出し国民の方に顔を向けた国民のための消費者行政を執り行うべきである。
  消費者庁構築の暁には、他省庁や企業に睨みをきかせられる強力な権限が必要である。

 「消費者」を「生活者」などと甘く言い表す場合があるが、消費者とは、あくまでも企業などの組織と対峙した立場にある場合である。生活者として広く捉えると、市場調査やマーケティングで曖昧に取り込んでしまい、真の消費者問題が把握出来ない。

  なお重ねて強調したいのは消費者教育の重要性である。特に低学年の教育である。お店の営業の実践教育などをしている学校もあるが、それ以前に、自立した消費者としてよい買い物(取り引き)ができ、不正に合わないための基礎教育が先ず大切なのである。

 

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