エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

冷夏と大停電”(2003年9月10日)

 未年は異変が多いと古人はいった。その通りのことがおこっている。

 阪神が早々とマジックを点灯させる。梅雨はなかなか明けず、とうとう東北地方は梅雨明け宣言ができなかった。8月に入っても梅雨前線のようなものが日本列島に居座わり、台風10号がほぼ列島を縦断のかたちで通過、雨風の大被害をもたらした。気温は低い。月遅れのお盆に、関東地方で20度前後とは、あまり記憶にない。これはお天気が東電に味方したな、との冗談も聞けた。

 ふと見ると、テレビの画面で“大停電発生…”とやっている。よく見るとアメリカ、カナダらしい。すわまたテロか、あるいはサイバーテロか。今夏は関東大停電が懸念されていただけに、何とも妙な具合である。ヨーロッパは猛暑で40度前後だとか。ニューヨークは暑かったのか否か、不明だ。

 大停電の原因はよく分からないらしいが、送電網の老朽化が問われている。ニューヨーク市は幸か不幸かテロの経験で、大混乱を避けられたようだが、他の都市はどうだったのか。相変わらず、報道はキメの細かさがなく、どこも同じような記事を流していた。

 数時間の大停電の場合、特に医療施設がどうだったのか気にかかったが、知るすべがなかった。大都市は地下鉄が止まり、交通の難が凄いことが分かった。夏の場合、商店やレストラン、家庭の冷凍・冷蔵庫が完全にやられてしまうことも分かった。申し訳ないが、これらの情報でしっかり学ばせていただくより他ない。

 冷夏で季節商品の売れ行きはさっぱりだそうだ。イオンは、8月中間期の前年同期比が43%の減益と発表。消費者としては、夏野菜の価格上昇を毎日目にして考えてしまう。農家はもっとたいへんだろう。早場米地帯は8月には刈り入れのところもあるが、田の稲は実り少なく、まだ青々とつんつんしている。凶作にならなければいいが。

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