エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

トルコと日本”(2005年06月11日)

   一度は行ってみたかったアジアとヨーロッパの狭間にある国、トルコに出かけてきた

 鉄の民族ヒッタイトが王国を築き、ペルシャ、ギリシャ、ローマ帝国、ビザンチン帝国がこの地を支配し、中央アジアから進出したオスマン・トルコはウィーンに攻め入る大国を築いた。 その地でアジア、ヨーロッパ、そして日本を考えた。

 チューリップはトルコが原産。トルコ国花はチューリップだ。オランダの国王がトルコを訪問した折、余りに美しく珍しい花が咲き乱れているので、土産に所望してオランダに伝わった。コーヒーは、ウィーン攻略の折トルコの兵士たちがヨーロッパに伝えた。

 たいへん親日的な国民である。アタチュルクが近代化政策に日本の明治維新を手本にしたり、国境を接し常に戦っていたロシアを日本が破ったことが、日本に好感情をもたらしているらしい。

 中でも現在の子供たちの人懐っこいこと ! どの子も一人残らず、こちらに向かってにこっとして手を振ってくれる。都市部では何度子供たちに取り囲まれて、握手攻めにあったことか。近頃の日本の子供たちにはついぞうかがえないとびっきり明るい子供らしさだった。日本人と一緒に写真を撮りたいと、写真に加わらせられたこともしばしば。

 旧シルク・ロードのあるキャラバン・サライ ( 隊商宿 ) 址では、観光に出てきたらしいスカーフを被った婦人の一団が、すれ違いざまに全員微笑みかけてくれ、何人かに頬を撫でられた。先方のガイドが日本人だと説明したらしい。こちらも相手の女性の頬を撫で返した。すべすべとしていた。後でこちらのガイドにどういうことか聞いたが、そんなの普通はないと言う。

 人びとのこの人懐っこさは正にアジア的である。どこか懐かしい。しかし、国としては欧州会議のメンバーであり、EU 加盟を望んでいる。

 

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