『幕間』

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読書日記

2022年1月12日

『幕間』 ヴァージニア.ウルフ 平凡社ライブラリー 1400円+税

相変わらずヴァージニア・ウルフにはまっていた。これは彼女の絶筆。これを執筆完了、出版のための校正もせずによくあった書き終えた後の鬱、自信をなくして自宅近くの川に入水、59歳の精神的病と戦った生涯をとじた。
幕間はまくあいと読む。初夏のイギリス田舎の古い大きな屋敷で演じられる素人の野外劇の前後一昼夜の出来事を、滅びゆく田園風景の描写とともに英国の歴史や詩歌を丹念に織り交ぜながら語る、これは丁寧な注釈がついているので読みこなせる。
劇の幕あいだけでなく、時代の合間をも意味していて、時は1939年6月が設定されていて、第一次世界大戦と第二次世界大戦の合間なのである。
彼女の言葉一つ一つが意味を持ち、でもとてもやわらかで読みやすい。同性愛者ともいわれた彼女の人間を見つめるまなざしがうかがわれる。

 

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