エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

ロング・バケーション”(2004年08月11日)

 この 8 月いっぱいは、九十九里浜の実家で過ごそうと、楽しみに企てている。

 完全フリーになった身で、この暑さの中、涼しくて、空の色、空気の味が格段と違うところに行かない手はないとはたと思いついたのだ。実行しよう。何十年ぶりかの本格的夏休みである。抱えている仕事は全部 7 月いっぱいで片付けよう。町内会の早朝ラジオ体操も 7 月で終わる。講演も終わった。原稿書きが一つ残るが、そのくらいはいいだろう。

 この春から、「こころをスローにすること実行委員会」という会を主宰し始めた。自分の心をスローにすることを実行して、それをみんなで持ち寄り話し合う。平日の昼食を 2 時間くらいゆっくりとかけながらの気楽な会である。スローというのを「豊か」と解釈してもらっていい。ホームページで呼びかけている。案外と多くの人が、田舎で畑を耕したり自然と親しむ工夫をし、そこからこころの大きな支えを得ていることが分かってきた。田舎の力、自然の力は、人に生きる底力のようなものを与えてくれるようだ。

そこでわたしの実行の一つに、田舎でのロング・バケーションを加えようと考えた次第だ。

 ところが、実際は優雅なバケーションと洒落込むには程遠い。すでに 7 月に 2 回帰省して、力持ちの甥達の手も借りて、家の周りの竹藪を伐採したのだが、これが一度や二度の日帰り仕事の手には負えない状態なのである。いま、各地で竹の被害が出ているようだが、我が家の場合も、父が死んでこのかた 10 年は放ったらかしだったのだから仕方がない。

 自然から底力をもらうどころか、野良仕事で力を取られクタクタ、大汗をかく日々となろうことは想像に難くない。しかし、この大汗をかくことが気持ちいい。実に爽やかなのだ。そして、夢は広がる。来年こそ、きれいに手入れされた屋敷畑で、野菜や草花を植えて豊かなバケーションにしようと。

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