エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

こころのケア”(2004年11月11日)

   今回の新潟地方を襲った大地震は、またもや天災の恐ろしさをまざまざと見せつけた。日本は台風の被害がまだ収まらないうちの、続けざまの脅威である。

 大地震がいずれは来るだろうとの説は流布していて、それなりに科学的研究もすすんでいたはずだか、予知せぬところでの発生ばかりで、これはどうしようもないことなのだろうか。ある学者が断言していた、地震は予知できないものなのだと。

  だとすると、東京に超高層ビルがまた建ち始めたが、大丈夫か。

 阪神大震災を思い起こす。

 あの時は火災も加わって未曾有の状態だった。そして、後々まで続く被災者のこころの不安な状態が伝えられた。現に、私の身近に、自身震災で両親を亡くし、家族の面倒以外に多くの人々の支えとなり力となって動いた人が、数年後病に罹り亡くなった。家族の人は明らかに彼の死を震災が続いているとみていた。こうしたことは、彼一人ではなかったろう。

 こころのケアが言われ始めたのはこの頃からであった。復旧作業がすすみ、物資の補給も確保できて一段落してきたとき、実は全てを無くしてマイナスからのスタートをはじめなければならないことになる。年配の方々は特に厳しいであろう。

 こころの傷の手当ては生易しいことではない。こころのケアの専門家がしっかりと治療してくれることを願うばかりだ。それにしても、今回、自治体の長として、要としての、新潟県知事の顔がみえてこないのはどうしたことなのだろう。

 いま、日本列島全体が不調に沈み込んでいる。本来ならばこのシーズンは、秋晴れの下、収穫作業や運動会、スポーツ、旅行に晴れやかな汗を流したかったのだが。その秋晴れも続かない。ところによっては、そろそろ雪も降り始めるであろう。

   非常食は 3 日分を備蓄しておくことと言われる。せめて日頃の暮らしの自衛を省みて       、安心に繋げたい。 

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