エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

香港の活力”(2006年03月11日)

 中国市場を睨んで、香港に事務所開設をした知人を訪ね、香港に出かけてきた。

 返還直前にも行ったが、あの時の静まり返った様子は何処へやら。今回は、人出の多さや、みんなの表情の明るさ、活気、どのお店にも人が大勢入っていて買い物をしている様に驚き、圧倒された。

 中国中央政府の香港経済復興政策が功を奏しているのか。中国人の香港渡航自由化策などなど。これでは明らかに、中国の経済成長率は二桁台に達しているであろう。特に、日本の大手デパート2社、いずれも本国の日本では経営不振で整理縮小しているデパートだが、それらが出店している香港でも1、2を争う繁華街のコーズウェイベイ地区など、どこから人が湧き出てくるのか、絶え間無いびっしりの往来には驚くばかりだった。

 ついでに、日系企業進出の多いシンセン、広州へと足を伸ばした。香港は、中国に返還されたとはいえ一国二制度がとられ、国防と外交以外は自治権をもっている。香港とのかつての国境には、相変わらずパスポート・チェックが必要。電車でシンセンに入るには、香港側の駅で降りて出国審査を受け、中国への入国手続きを経て、中国側のシンセン駅を出る。広州東駅から香港へ広九鉄道の直通特快客車で香港に帰るときは、駅の香港直通車専用の出入国審査を通過し、電車のホームに出た。

  シンセンや広州は、駅前には高層ビルが他建ち並ぶが、香港ほどの活気は見えなかった。このシンセンや広州と、香港との行き来を完全に自由にしてしまっては、経済の混乱をきたすことは目に見えている。シンセン側にある両替の窓口は、時間をかけて審査が厳しく、大金を両替する人のための専用のようであった。古いボストンバックにお金がいっぱいというケースもあるらしい。

     

 ザ・ペニンシュラの前を埋め立ててウォーターフロント開発し、海からザ・ペニンシュラが見えないようにしたのも、中国人の、いや香港人の強かさを見た気がした。

 

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