エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

日本の食卓”(2008年03月11日)

 中国製冷凍餃子などに殺虫剤などが混入していたこの度の事件で、奇しくも日本の食卓のお寒い現状が露呈された。

 市販の冷凍食品があれ丈日本の家庭の冷凍冷蔵庫に保管されていたとは驚きだ。市販の冷凍食品は解凍が難しく不味いとの先入観があったが、解凍せずにお弁当にそのまま入れると聞いてまたびっくり。

 そして、「結構美味しいですよ」とは、ある年配男性のお言葉。そういえば、「うちの冷蔵庫にもあの商品が入っていた」とあっけらかんと言うのは大抵男性だ。

 昨年、中国産品の野菜、原料なども含めて食品の安全性が大いに揺らいだ。消費者はあれから何も学ばなかったのか。食に対する安全の認識をもっとしっかり持ちたいものであるが。

  手作りの食品を、冷凍保存するのなら分かる。手作りは安全で美味しいし、作った人のたいせつなこころが伝わる。手作り餃子の美味しいこと! 凝って皮まで作ったりして。スローフードの考え方の大切な所以だ。そのための冷凍エネルギーなら有効活用。
  市販のものはスーパーを共同冷凍庫と考えてそこに置いておけばいい。すれば各家に大きな冷凍冷蔵庫などいらぬ。

  ある男性曰く、「今は女性も忙しいから」と。
 女性が忙しかったら男性がカバーしたらいい。

 あくせくと忙しくしているうちにたいせつなものを失っていやしまいか。恐ろしいことに、忙しいとは「心を亡くす」と書く。

 今、「朝はお茶漬け」というCMが流れている。えっ、朝からお茶漬け? とその食品会社の食に対する姿勢を疑う。食関連の仕事をする知人も同様に感じている。

 宮廷料理人だった祖母をもつ韓国人料理研究家がいい話しをしてくれた。
  韓国ではキムチ休暇が年3日ある。家族総出で来年分のキムチを漬ける。「今の子はすぐキレる。親の手が全くかかっていない食べ物を3秒チンで食べる子は我慢が3秒しかもたない。ちょっと手を加えて3分で出せば3分はもつ。3日かけて作ったキムチを食べれば3年はもつ」と。

 

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