エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

ペイオフ完全実施”(2005年02月11日)

  今年の 4 月からペイオフが完全実施される。それに伴って、各金融機関は一般消費者に向けてもペイオフ対策セミナーや資産運用相談会なるものを頻繁に開いて、顧客の獲得にやっきになっている。

 ペイオフとは、ある金融機関が破綻した場合、そこの預金者への預金払い戻し保証額を一人当たり元本 1000 万円とその利息まで、無利息の決済用預金は全額保護というもの。定期預金などは 02 4 月からすでに対象とされてきた。

 金融機関が破綻するなどということは、国の経済の異常事態である。バブル経済、国によってはこれをカジノ経済といったが、これが弾けた後始末に、国は最善の処置をしてきたはずである。そして、それでも自力でだめなところは合併に合併を重ねた。現在の金融機関の名称と、どことどことがあわさったものかを明確に認識できる人は多くはいまい。それでも一皮剥けば危なそうな大手金融機関があるのには驚くより他はない。

 現在、預金は無利息同然である。国民に無利息を強いて不良債権を整理してきた。それで破綻されては、国民は目も当てられない。なけなしの金をもう預金はできないのが実情だ。

 日本の家庭が高水準を誇っていた家計貯蓄率が、低下の一途をたどってきたのもそのあたりが原因の一つであろう。 65 年の 16% 73 年の 23% から 02 年には 6% 台にまで低下している。 1000 万円まで預金したら、残りは箪笥預金になっている。どう消えて無くなるのか分からない国や企業の活動資金にまでは回せないのである。そして、不景気、倒産、リストラ、失業と、経済は循環して、家計収入は減ってきている。預金どころではない。さらに、高齢化が進み、老後のために蓄えた預金を取り崩す段階に今や入ってきているのである。

 新しい金融商品の勧誘では、その商品の説明に、 これは預金保険制度の対象ではありません と書かれている。ということは、びた一文保証されていないということである。一般の国民はカジノ経済には慣れていない。いま、金融消費者保護のいっそうの強化を願う。

 

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