『メグレと老婦人』

トップ > 日記

読書日記

2019年03月07日

『メグレと老婦人』 ジョルジュ・シムノン ハヤカワ文庫 500円

メグレものの1冊。パリ警視庁の警視メグレが、郷愁豊かな地、ノルマンディー地方のエトルタというアンリ・マチスが好んで描いた断崖と海のある避暑地での殺人事件に借りだされていく。
メグレは幼い頃に思い描いた理想の海辺の村にしばしこころ休める。
9月で、15日にはどこのホテルもカジノも店を閉めるという時期。多分第一次大戦後の頃だろう。かつて大富豪だった主人公の一人が、やたら英国風を気取ってウィンザー公の真似をするのだ。
もう一人の主人公は、女城主でたいへんにチャーミングな老婦人で、ウィンザー公紛いの継母。
彼女の同居している若い女中が毒殺される。
この富豪一族(元といったほうがいい)と観光客以外にはよそ者を近づけない口の重い貧しい漁師の村で、メグレ流の捜索が始まる。

シムノンの作品は、パイプを煙らしながら重厚に、だが日々の暮らしを世間話をしながら探っていくという、落ち着いた昔の大人の世界だ。

 

[前の日へのリンク]← 
→[次の日へのリンク]

NewChibaProject