「藤戸」

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スローライフ日誌

2008年06月02日

この頃能鑑賞のお誘いが重なり有り難い限りである。
今回は、「六浦」と「藤戸」を国立能楽堂で鑑賞した。

「六浦」は、楓の精の序の舞が大変に美しく見入ってしまった。

「藤戸」は、平家物語からの題材で、世阿弥作。
藤戸の戦いで功を上げた佐々木盛綱が、頼朝からその地を賜り領主としてやってきて先ずは住民から意見を聞こうとする。
そこへ老女が現れ、あなたに浅瀬の道案内をしたばかりに我が息子はあなたに殺されたと嘆き悲しむ。
その訴えに盛綱は亡き若き漁師のねんごろの弔いをすると老女に約束する。
供養の折、漁師の亡霊が現れ、無惨な殺され方、海の底に捨て置かれた様を再現して、たたりを行おうとしたが、手厚い弔いに成仏して消えていく。

時の権力者の身勝手な振る舞い、名もない者たちの命を切り捨ててその上を行くことが当たり前の世間。
今日も起きている戦争、災害で、為政者の都合で無惨にも命を落としていく多くの無名の人々の姿と重なる、大きな主題である。 

 

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