『船出(下) 』

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読書日記

2021年11月21日

『船出(下)』 ヴァージニア・ウルフ 岩波文庫 840円+税

南米のとある町の叔母夫妻の別荘に滞在中、24歳で世間を全く知らずに育ったレイチェルは、ジャングルの中の川登りという無謀にも見える度に参加し、そこで親しく話した若い男性テレンスと婚約する。
が、婚約後2週間もして風土病とも思われる熱病に侵され敢えなく死ぬ。
彼女が死に侵されている意識と、死後の叔母や婚約者、その他の人々の描写が、日々の一コマとして描かれていく。
著者が自殺願望を繰り返し、この作品を完成した後も重篤に陥り出版は3年後になったこと、30年後頃に結局自殺してしまうことを思うと、重く考えざるを得ない。まさか、若いレイチェルを死をもって終わらせるとは、ショックだった。この小説は小説としては彼女の処女作だったのだ。読み終えて、 しばらくは私自身暗い感情にさいなまれた。
しかし彼女の作品は惹きつけてやまない。 

 

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