アシェンデン

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読書日記

2022年05月06日

『アシェンデン』 サマセット・モーム 岩波文庫 1140円+税 

副題は"英国情報部員のファイル"とある。これは1928年に出版された。モームの情報員としての経験を踏まえて書かれている。第一次世界大戦の最中、ドイツ、オーストリア、トルコなどの同盟国と、イギリス、フランス、ロシア、アメリカ、日本などの連合国との間の情報戦に加えてロシア革命の目撃など、興味深い。
が、スパイとして007のような活劇ではなくて、モームらしい作品で、登場人物の人間味を詳しく描写していて、ジュネーブに本拠を置く情報員アシェンデンが世界各地に任務で出向きそこで配下の要員を動かし情報を集め重要決断を穏やかに下していく、といった物語だ。
現在、残虐なロシアのウクライナ侵攻で核兵器をちらつかせるきな臭い世界となってしまっているが、第三次世界大戦にならないためにも情報戦は現在も欠かせない。

 

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