『ノーザンライツ』

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読書日記

2022年04月17日

『ノーザンライツ』 星野道夫 新潮文庫 900円+税 

極北にこよなく魅せられた若き写真家で随筆家の著書は、その文明にまだ侵されていない大地に身を置き、飲み込まれて逝った。あまりにも早い死だ。その短い時間に、原野の自然と親しみ、多くを捜し歩き、そして数少ない消えゆく原住民から話しを聴いて回った。
題名のノーザンライツとは、オーロラのことである。北極光だ。想像するだけでそれは美しい世界であったろう。が、そこにも近代に入って愚かな開発の波が押し寄せていたのである。そして、原住民迫害…。
土地の区切りや境界線などなかったアラスカに、ゴールドラッシュや核実験場計画が起こり、無理やり道路が敷かれ行き場を失う原住民が続出。現地を知らない自然保護運動などなど。新大陸アメリカに起きたことがアラスカにも起きていたのだった。アラスカはいったい誰のものか…。が、未来を見通した不思議な力を持つ普通の良識をもつ原住民に開発を免れた村もあった。
二人の白人女性パイロット、雪原の郵便配達人、最後の白人エスキモー、ベトナム帰還兵、クジラと共に生きるエスキモー、彼らからの聞き語りから人間がいかに自然と共に生きているか、深く考えさせられる。ともかく心洗われる。

 

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