『人間の建設』

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読書日記

2022年3月6日

『人間の建設』 小林秀雄 岡潔 著 新潮文庫 430円+税

これは昭和40年(1965年)10月に雑誌「新潮」に掲載された二人の対談である。対談と言っても別段テーマがあるわけでなく雑談である。が、これが至極上等の雑談で、さすがに当時の知識人の凄さを感じる。一人は評論家、もう一人は数学者。
大文字の山焼きのある日でそれを眺めながらの席である。人為的な山焼きなどしないほうがいいと、岡、今、学問を好きになるような教育をしていませんね、と小林、でさりげなく対談は続く。
しきりに情緒が大切だと説き、科学的知性の限界を説く岡。時というものがなかったら生きるということが説明できない、強いて分類すれば時間は情緒に近い、と。両者とも膨大な書を読みそこからの考察は物凄いものがある。お互い身近なテーマを深く掘り下げて平易な言葉で絡み合う、極上の対話である。
  

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