「十五夜」

2004年09月28日

今夜はたしか中秋の名月ではなかろうか。

満月である。

昨日、エジプトから帰ってきた。

エジプトの夜空で見ていた月は、まだ満ちていなかった。

今夜は、曇りなのにしっかりと姿を現している。

笑っているような表情だ。

昔から、かぐや姫ではないのに、月を見ると不思議にこころが落ち着いて静かになったものだ。かぐや姫は泣いたのだが。

近頃は十五夜を見ると、亡母を車椅子に乗せて、廊下で二人して静かに長いこと愛でていたことを思い出しす。母はその二ヶ月後に死んだ。あのとき、母がすーっとあの月に上っていくという思いがあった。きっとそうだったのだ。

明治生まれの母は、月見のお供えを欠かさなかった。すすきの穂を飾って、布担ぎや柿、梨などを供えていた。

わたしも真似をして、今夜は買ってきたぶどうと梨と無花果を籠に盛って、お供えして、しばらく見上げていた。旅の疲れのこころの高ぶりも落ち着いて、穏やかないい気持ちになれた。

曇りなのに律儀にお顔を出してくれたお月さまに感謝感謝。

 

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[スローライフ日誌]

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