闘病記5

千葉ウィメンズ・フォーラム

[こころをスローにすること実行委員会]

メンバーのお一人から寄せられた闘病記シリーズです。
9月4日に纏めて送られてきましたが、幾編かに分けて連載します。

股関節を人工股関節に入れ替えるの記ー5

7月4日

朝食はまだ喉を通らず
8:30 硬膜外麻酔を抜く
9:00 抗生物質点滴 
9:30 理学療法士が来てリハビリ開始
少しだが左足が上がってびっくり
車いすに乗り移って 車いす操作の訓練 
折り返し地点で曲がるのに上腕に力瘤(これで上腕の振袖状態解消かも)
車椅子の 乗り移り方 足乗せの操作を褒められる。
これは東京都美術館 の企画展 に障害者の鑑賞会 というのがあって このボランティアを務めたお蔭
このあと 退院まで毎日リハビリで理学療法士にお世話になりますが 褒め上手
お手洗いで便座の座り方 

10:30 足の屈伸運動 屈伸機で下肢を固定して足底から押し股関節の屈伸を10分 60度 
12:30 昼食 朝の食事摂取度申告で 朝食は欠食の旨申告すると では 栄養補給の管を抜くのは延期と言われてしまいました。術後はいかに口から食事を摂るかで回復が大きく違ってくることを思いだして 必死で完食。午後栄養補給用点滴終了

14:00 患部の痛みが増して 痛み止めの座薬
15:00 家族面会
主治医から 麻酔の後遺症から脱するには なるべく大きな声でおしゃべりをするのが最上 とのアドバイスがあったので このあと
20:00の面会終了時間まで家族が入れ替わり立ち替わり来てずっとおしゃべり
手術前は本当に忙しかったので相談事と報告以外あまりおしゃべりする時間もなかったせいかあとからあとから 話の種がわき出て途切れることなし
幸いなことにこの日は 特に重症な患者さんもなく 他の方も話に加わって大座談会
 
18:00  夕食は食べられず
口が渇いて(しゃべりすぎ?痛み止めのせい?)食べられない

20:00  血液凝固を防止する 抗血小板薬の皮下注射   痛い!  このあと5日間朝・夕と。

入院時の聞き取りでアルコールアレルギーの旨申告し 枕頭に赤字で注意書きされ
台上にわざわざ別製の消毒薬があるにかかわらずアルコール消毒 あわてて止めたが
間に合わず あごめんなさいで終わり。 
案の定30分後には赤くはれる。

夜が長い  時計を見るたび 針は10分程度しか進んでおらず
いつもの 1分ごとに回復に向かっている と心を奮いたたせる。 

7月5日

5:00 起床  
ブラインドの隙間から見える窓の外は うっすらと茜色 痛みも取れて爽やか
朝の落語は 柳家 小さん の ときそば・ちりとてちん を聞きながら 定例の検査を待つ 

食事はご飯以外はすべて摂食 (持参の干し子魚・プルーンも)
すぐに便意  車椅子に乗ってお手洗いへ 終了後ウオッシュレットがうまく的中しないと迷った水は床に水たまりとなってしまう。うまくいくには熟練が必要  術後の便意は非常に大事
  
足をしっかり地につけて歩けるまでは 両足にフットポンプがついているので(ゲートルってご存知?のようなものを足に巻きつけこれが自動的に時々足をしめつける)ベッドから出るときはこれをはずす。べりべりとうるさい。

手術部分周辺にかぶれ発生  アルコール消毒? 絆創膏あと  看護士に申告

9:00 体拭き 
(昔は清拭と言った)本来は火・木・土曜日 昨日は看護士が忙しかった由

10:00 掘伸機による屈伸運動 10分  75度

14:00 面会 
スターバックのアイスコーヒー  美味! 普段はよほどのことがなければ飲みませんが     
植物性乳酸菌飲料と良く洗った きゅうりとミニトマト
(以後毎日リハビリ後乳酸菌飲料・干し小魚・プルーン・ミニトマトのおやつ)

車椅子で廊下を散歩 看護士もクラークもすれ違っても何の挨拶もなし 何も無かったごとく
当日担当の看護師でさえ廊下であったら無視 ましてや担当以外では
以後すれ違うたびに 誰にでも大きめの声で声をかけることに。

閑話  看護士は整形外科病棟17名中 8人が この3月の専門学校卒業生  担当になるとにこにこと定例の事項はこなしてくれるが 定例以外を頼むとうやむやになってしまいます。非常に忙しそうにしているので可哀そうであまりうるさくも言いにくい。廊下での声掛けもゆとりのなさかも。
要望が聞いてもらえない時は 自衛のために申し訳ないがベテラン看護士を捕まえてお願いする。病気の治療は主はドクターかもしれませんが患者が日々頼りにするのは看護士、新人の比率がこんなに多い理由はどこにあるのでしょうか?

術後 初めて石鹸をつけて洗顔
一日2回の 抗生物質点滴・抗血小板凝固薬の皮下注射は同じ

夜は長い

7月6日

起床後朝食までは 5日に同じ
朝の落語は 小さん 宿屋の仇討   そのあと ハリーベラフォンテ ベストアルバム

9:00  主治医 出血管・尿管を抜く  
これでつながっていた管はすべて撤去。
いずれも早い回復で と褒められる。 
輸血用に保存してあった自己血の 輸血に使用し残った分を体内に返してくれる。
広がった かぶれ部分をチェックして 薬処方の約束
抗生物質点滴終了

10:00 掘伸機による 屈伸運動   105度  10分

15:00〜15:30   リハビリテーション
平行した2本棒を支えにして初めての歩行 よたよたと左足は力無し 
仰臥して 理学療法士による足の屈伸 横開き 足上げ 腰上げ
マッサージをうける

リハビリテーション時に履く靴について駄目出しあり しっかり踵をフォロー 
し クッションが正しく設定されたものが必要とのこと
靴を本人不在で購入するのは困難なのになぜ今頃?
主治医からはこの靴で了解済み 手術前の理学療法士の診察時には何の指示もなし。このことを告げると 先生は何も知らないから とのこと
何か変ではありませんか?以後も 時々このような問題が発生します。

リハビリ後 足が痛い  申告したら 痛み止めの座薬

18:00 ようやく かぶれ対応の薬が出る  レスタミン軟こう  
2回塗っただけですっかり 治癒 (これはどういうことかしら)
後に 薬剤科主任から謝罪

各病棟には一人づつ薬剤師が常駐 かぶれ対応が遅れたのは 薬剤師が私のカルテを診て  アルコールや絆創膏にかぶれるとの申告を見落として食物アレルギー(鯖と牡蠣にアレルギーが出ることがある旨申告)と判断、この場合は医師の判断が必要として対応が遅れた。
本来かぶれ対応薬は薬剤師の裁量範囲。このあと病棟薬剤師とは度々意見の相違あり。大きな声で主張を変えない。いつもの手で主治医に直接依頼して判断を乞う。
筋肉痛に湿布剤を依頼したら痛み止めをすすめ、湿布薬を発布剤から塗布剤に変更指示、塗布剤は利かないと言っても聞き入れず 等々命にかかわりはしないが症状をより軽減するのに必要な薬が貰えない。
保険上等に制限があるのかと思ったら当てはまらなかった。主治医への質問では問題ないようなのだが(こちらは在任中薬品の開発の一端を担っていたので雑学程度以上の情報を持っているので気の毒かも)
      
21:00 閉め忘れたブラインドの隙間から見事な満月 窓の左端から右端に消えるまでほぼ 3時間 至福の時間を過ごす。                                
今夜も長い夜。2時からはdocomoと東洋経済から発信されるニュースを携帯で読む
これは 電気をつけなくても読めるので時間つぶしにはぴったり

7月7日

朝の落語は 志ん生 の火焔太鼓 絶品 ついくすくす笑って 入口近くのベッドのおばあちゃんが泣いてると勘違いして覗きに来てくれる。

昨日 動きすぎかな?朝 左足が動かせない。腰も上がらない。
リハビリに向けて 30分前に痛み止めの座薬を使ってみたが 間に合わなくって  今日から1時間の予定を30分で切り上げる。
3時間後に痛み止めが訊いてきたのでベッド上で昨日実施したリハビリをなぞる。横開き、足揚げ、腰上げは左右同様にできる。良かった。
主治医から   行ったり来たりしながら 良くなるから 安心してゆっくり行きましょうと。
痛み止めを使ってでも動いた方が早く良くなる。程度問題なので相談しながら行きましょう。

体拭き  大きめの使い捨ての紙タオルでするっとひとなで。前方は自分で。
洗髪   ストレッチャーに寝て洗髪してもらう  さっぱりしました 

朝晩の検温が通常に戻る。体温 34.5℃  血圧 110・78
夕食のゼリーのデコレーションに天の川とお星様
今夜もお月さまがきれい うっとり眺める。
ブラインドを閉めにきた看護士に訳を話してしばらく開けておいて貰う。

今夜も携帯ニュース

7月8日

朝の落語は  志ん生 替り目 音楽はチベットで入手したチベットフォークソング どこかのんびり

主治医    傷口チェック 消毒 のぞき見ると10cm程のごく細い傷 
足の長さチェック ピッタリと満足そう
抗血小板薬皮下注射 終了 お腹中注射跡が蚤食いあとのように点々と。
 
リハビリ   本日から本格的リハビリ開始 昼食後すぐに痛み止めの座薬を使ってきたせいか痛みはなく実施できる。

理学療法士からのアドバイス  ある行為の終結にいたる道程は リハビリは一歩ずつ進んでいくのだが 私の場合は 他の機能を使って終結できてしまうので 他の機能を使うことを戒めて療法士の指示する以外の機能を使わないでリハビリを実施すること

不在者投票実施  都議会議員選挙の不在者投票  選挙管理委員がベッド迄来て投票できる

大好物のトウモロコシ 西瓜 の差し入れ 

お月さま情報を公表 同室の方々がうらやましがる。
消灯はいつもどおり21:00だが 希望者は23:00まで 私のベッドで月見をして良いという許可を取る。5人でお月見
 
この病室は 脊椎側弯症(脊椎がS字 や 半O 字 などに曲がる)2名 糖尿病の合併症で足首から先を切断した人1名、ひざ関節置換術を受けた人1名、私と同病が2名で割と軽症の患者 
但し いずれも現代を映した病気ばかり
皆大人でお互い助け合って 看護士対策・薬剤師対策・病院対策の情報を交換 一人部屋や 二人部屋だとこうはいかない。

(続く)

[闘病記4]← →[闘病記6]

[千葉ウィメンズ・フォーラム]

NewChibaProject