『WHAT HAPPENED  何が起きたのか?』

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読書日記

2020年10月24日

『WHAT HAPPENED 何が起きたのか?』 ヒラリー・ロダム・クリントン 光文社 2000円+税

後10日もすれば次期アメリカ大統領が決まる。このバカげた恐ろしい選挙戦は見るに堪えない。少し前から既にこのニュースからは遠ざかっている。見ると気分が悪くなるからだ。この4年間の現大統領の悍ましさ愚かさには呆れかえっていたが、これほどまでとは。アメリカ国民はどう考えているのか。
そこで、4年前に何が起きたのか、民主党から立候補し勝つとばかり思われていたヒラリーが土壇場で僅差で敗北したわけは、遅まきながらヒラリーのこの著を読んでみた。
アメリカと言う国の政治は余程強靭な精神と体力と支援がなければやってゆけない。かつては人種の坩堝と言われた。今は共生どころでなく、憎悪で煮えたぎっている。人種問題、宗教問題、性差別問題、貧富格差問題、移民問題などなど、根の深い諸問題が絡み合っている。小説『風と共に去りぬ』にも黒人問題は出てきたし、KKKも出てきた。
ヒラリーは、こうした問題を政治家として真摯に受け止め、弁護士、知事夫人、ファーストレディー、上院議員、国務長官などの公務を務めた経験を活かし、貧困層への対策、皆保険システム、教育問題、ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ)運動などなど、身近で基本的大きな問題への対策を練り上げて、皆でやっていこうと選挙戦に臨んでいた。
一方良識の欠片もないトランプは、政策も何もなく、ただ国民間の感情を分断、怒りを盛り上げ、敵を罵り、私が国を強くすると強烈な無知で独りよがりを怒鳴るばかりだった。
マスコミは声高で意表をつく印象のみ映し出し、政策内容の事は触れない。それで読者や視聴者を引き付けてゆく。
そこへ、終盤ロシア情報機関の暗躍、心得違いのFBI長官、携帯電話の使用問題などが突発してくる。
こうした愚か者に敗北した彼女は当然茫然とした。何が起こったのか、何がいけなかったのか。
暫くはベッドに籠り、愛しい家族と一緒に居られ、クリントン夫妻がモデルとされる人気テレビドラマ「GOOD WIFE」などゆっくりと見ることができた。
反省はしても答えなどない。信頼し協力し手伝ってくれていた圧倒的多数の人々からこれからどうしたらいいかと逆に問われる。
ヒラリーの答えは一つだけ、「前進しつづけるのです」 みんなで。  強い! そうしなければ真っ当な国にはなれまい。オンワード・トゥギャザー (共に前へ)

 

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