『ビルマからの手紙』

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読書日記

2012年09月17日

『ビルマからの手紙』 アウンサンスーチー 毎日新聞社 1500円+税 

副題に、1995〜1996とある。

アウンサンスーチーさんはミャンマーでなくビルマという。
ビルマの選挙の結果からも国民の8割の指示を受けているいることが分かる「国民民主連盟」の指導者として、軍部当局が政権を握り圧政を強いる中、ビルマの民主化運動に取り組む強靱だがしなやかで凛としたユーモア溢れるアウンサンスーチーさんの素顔が、ビルマの国の素顔が読み取れる本だ。
1989年7月から95年7月まで6年間にわたり自宅軟禁されていた。解放されて11月から翌96年11月までの1年間毎日新聞に「アウンサンスーチー ビルマからの手紙」として掲載されたものを纏めたもの。 

本来ならば政権党である「国民民主連盟」が、軍当局から考えられない不当で卑情な迫害を受け続けている様が、時にはユーモアの余裕をもって、時には国際的歴史的視点で厳しく、時には教養豊かな気分転換の読書で、綴られている。
『新ビルマからの手紙』でも書いたが、彼女のこの平静心は驚くほどの内心の強さが支えているのであろう。その強さは、幅広く深い教養としなやかな感性、そして何よりも同胞愛からであろうか。
残念ながら日本の政治家には見あたならい、素晴らしい人だ。
それなのに何故、このような事態が長年続くのか。国は、国土が疲弊し教育がなされないとこのようになるのか。軍とは何なのか。
平和ぼけして考える力がなくなっているわれには、ただとても恐ろしいことのように思え、人間とは何なのかその愚かさにただただ怯えてしまう。

アウンサンスーチーさんは事の本質を見極め、しなやかに果敢に日々盟友たちと戦っている。

 

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