『警視の覚悟』

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読書日記

2015年07月31日

『警視の覚悟』 デボラ・クロンビー 講談社文庫 1086円+税

ダンカン・キンケイド、ロンドン警視庁警視シリーズの第11作目
原題を WATER LIKE A STONE という。
原題を知るとこの小説の言わんとするところが分かる。

イギリス国土には、ロンドンはもとよりいたるところに狭い運河が張り巡らされている。昔の産業国イギリスの重要な物資の輸送路なのである。そこを通るための長さはあるが狭いボート、幅2mあるかないかのボートをナローボートという。
そのボートを綱で引くために運河沿いに狭い道があり、それはトウパスという。
ナローボートは、現代は運搬用の役割は減り、それを住居として住み着いている人・ボーターもいれば、観光用に使われているものもある。
イギリス物の小説やテレビドラマなどに多く出てくる景色である。

キンケイドの生まれ故郷、田舎の運河沿いの町、チェスターに近そうな田園風景の広がる町と、運河にナローボートで住み着いているボーターが絡まって、殺人事件をきっかけに、親子、兄妹、幼なじみなどなどの疑惑と愛情の心情が交差して描かれている。
特にボーターの現在の実情がよく描かれている。

かつてイギリスを旅した時に垣間見た、運河、ナローボート、その風景など思い出しながら楽しんだ。 

 

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