『置かれた場所で咲きなさい』

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読書日記

2013年02月08日

『置かれた場所で咲きなさい』 渡辺和子 幻冬舎 952円+税

著者はノートルダム清心学園理事長
キリスト教の修道生活で得たこころの持ち方、命の紬方などを、優しい語り口でしたためてある。
それだけでなく、9歳の時、目の前で2・26事件の犠牲者となった父親の、9年間という短い間だったが暖かい愛の教え、87歳で亡くなられた母親の優しくも厳しい教えを、85歳になった著者は今もって大切にしている。
マザー・テレサが来日した時は通訳や修道院に宿の世話をした。マザー・テレサはどんなに疲れていても煩わしいシャッターにも微笑みを絶やさない。どうしてそんなことが出来るのかと問うと、「私は神様とお約束をしてあるの。フラッシュがたかれる度に笑顔で応じますから、魂を一つお救い下さい、と」 辛いことをすることを、他を救う祈りとしていたのだ。

こんな筈ではなかったのにと多くの場合悩んでいるが、そんな時こそその置かれた状況の中で「咲く」努力をして欲しい。現実が変わらないなら、現実に対処する自分を変えてみる。どうしても咲けない時もあるが、そんなときにき咲こうとしないで根をしたに下ろして大きな根を張ってみる。
時間の使い方は、そのまま、命の使い方である。

若いときはたやすく出来たことでも思うようにいかない。不甲斐ない自分を受け入れるのはなかなか出来ない。が、老いは、"人のために働くというよりは、謙虚に人に世話になり、…自分をこの世に繋ぐ鎖を少しづつ外してゆくこと"という、ある神父さまの「最上のわざ」という詩の一部を引用して、85歳になった著者ご自身「老いは神の賜物」といえるようになりたいとしている。

小冊子で、読みやすく、しかもこころを打つ。
幾度でも読み返して、こころの安らぎを得たい。

 

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