『ヴェルディ』

トップ > 日記

読書日記

2013年06月30日

『ヴェルディ』 加藤浩子 平凡社新書 900円+税

今年はヴェルディ生誕200年
それを記念して出版やオペラ上演と世界各地で特集があろう。
この本はいつもオペラにお連れ下さる方からの贈り物。
先の東京文化会館でのハンガリー歌劇場「椿姫」鑑賞前に頂いた。
しっかりとこの本で予習しDVDでも観てのぞんだ。

この本は、ヴェルディについて、その人となりや作曲した全オペラ26作品を紹介している。
ヴェルディという人は、希有な作曲家である。
作曲家ではあるが、名士として国会議員に選出され、イタリア統一の顔つまり「建国の父」といわれる。
オペラ「ナブッコ」がヘブライ人のバビロン捕囚を扱っているのに例えてオーストリア圧政からの独立をうたったとされた。
作曲家の著作権を確立した。
そして実業家として、故郷に大きな農場をもち、作曲を止めてからも農場の見回りはしていた。ホテルや病院、老人ホームを建設運営した。これらは辺鄙な故郷への慈善事業でもあった。「音楽家のための憩いの家」は、経済的補償の少ない音楽家のためのいわば老人ホーム。ここにヴエルディは眠る。

歌を聴くオペラでなく、泣けるオペラをヴェルディは作った。
人間の奥深い情や、体制への抵抗など、成る程と感じる。「椿姫」は素人の私ですら始めから涙がうるんでくるし、「アイーダ」の深い愛と共にファラオ体制と奴隷の抵抗などこちらも泣けてくるし。

一言で「オペラは」とか「ヴェルディは」とか云々できない、それぞれのものには深い深い歴史、人生の思いがある。

 

[前の日へのリンク]← 
→[次の日へのリンク]

NewChibaProject