ラファエロ展・レオナルド展

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スローライフ日誌

2013年05月20日

初夏の上野公園は毎度のことながら相変わらずの大賑わい。
大木の緑の茂みがいい日陰をつくっている。
元気な修学旅行の生徒たちに混じって側の売店でソフトクリームを買い、日陰のベンチ腰掛けて一休みした。
中高年の夫婦連れ、女性グループ連れ、中学生か修学旅行組、などなど。
文化会館2階の精養軒でランチのハヤシライスを食べながら、隣から聞こえてくる会話。「どちらから?」と中年女性。 「福岡から、新幹線で」と中年男性、「初めてなんです」と。

国立西洋美術館では「ラファエロ」展。6/2まで。
マドンナや天使を描かせたら、穏やかな丸みのある慈しみが静に伝わってくる、天下一品。
16世紀イタリアルネサンス巨匠の一人だが、37歳の若さで亡くなる。優男美男子で、一説には性病で早死にとか。
 (余談 天才モーツアルトも、天使たちが舞っているような清らかで美しい作曲をしたが36歳くらいで若死に。これも性病説もある)
今回の展示では、<自画像>、<大公の聖母>、<無口な女>、<エゼキエルの幻視>などが多く観られる。
彼の工房の仲間たちの作品も多い。
どの絵にも、ラファエロ・サンツィオ・ダ・ウルビーノと著名されていた。ウルビーノ公に使えたサンツィオ家出身だ。
 (余談 レオナルド・ダ・ヴィンチは、私生児だったためヴィンチ村のレオナルドとだけだ)

東京都美術館では「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展。6/30まで。
レオナルド・ダ・ヴィンチはイタリアルネサンスの大御所。画家、というよりは、音楽家、彫刻家、戦術家、建築家、といえる。綿密な自然観察から当時の最先端科学的発想・着想を各方面に駆使している。
都市国家間で覇権を争っていた当時のイタリアで、先ずルドヴィコ・スフォルツァ治下のミラノに出、フィレンツェではメディチ家にこわれ、最後にはフランス王フランソワ一世に雇われてフランスのアンボワーズに行く、欧州を転々とした、というか逃れ続けた。最後まで手元に持ち続けた<モナ・リザ>が、フランス・ルーブル美術館にあるのはそんな訳から。
今回の展示では、絵画は<音楽家の肖像>しかない。
 (余談 絵画はあまりの大作が残っているのみ。 <モナ・リザ>はルーブルで貸し出さないだろうし、<最後の晩餐>は壁描かれているし)
それよりも今回は、あの、裏返した文字というか鏡に映せば読める文字というか、その文字で書かれている<アトランティコ手稿>に納められている素描や設計図、アイディアの断片がもの凄いのだ。
飛行装置、戦車、歯車の回転で連投石できる装置、潜水服、可動橋、光学の研究、幾何学的抽象分析、馬の動き、人体図、頭部図などなど、驚くばかりの精密な描写が細かい文字つきでメモられている。
 (余談 アイディアを盗まれないために誰にも読めない文字で書いたという説もある)
これらを相続・収集した弟子たちは偉い。
16世紀の天才の知識を目の当たりに出来て、久々に不思議な知的興奮を覚えた。

 

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