『アンナ・カレーニナ 上』

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読書日記

2016年10月17日

『アンナ・カレーニナ 上』 レフ・トルストイ 木村浩訳 平凡社世界名作全集 260円

我が家には亡父が集めたいろいろの全集がある。この全集もその一つ。恩ある知人が平凡社に関係していた。いわゆる文士かな。その人は九十九里の家まで訪ねてこられ一泊した事があった。戦争直後だったな。亡母が恐縮しきっていた。
この本は初版で、昭和36年とある。
この全集などで、中学生あたりから随分といろいろと本を読んだ。が、あまりにも幼いためにほとんど理解せずにストーリーだけ追ったようだ。繊細な細部はほとんど覚えていない。
ともかく、読書の習慣はこうして身についた。

『アンナ・カレーニナ』はかなりの長編だ。トルストイが円熟期に書かれたという。1873年から5年かけた
裏表紙に、"復習はわれにまかせよ、われはあだをかえさん" という聖句があり、書き始め冒頭は、"幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸の趣を異にするものである。" とある。
1870年代のロシア貴族社会、特に家庭生活を。ただそれでは足りずに社会制度、農村社会、自由思想、などなどを繊細に細かく記述している。高官の妻である女性アンナ・カレーニナの自我、自立をテーマに据えているといわれるが、まだ前半を読んだ限りでは、人間の自我、自立とはそんなものではあるまい。
当時フランスを中心にルソーの「自然に帰れ!」とか「自由に!」が言われ、それに感化されたトルストイだが、女性が自我を主張するのに狂気が必要だったのか。

下巻の展開も多分悲壮なものだろうな。

  

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